木曜日, 6月 10, 2010

日本国内で麻薬が製造される時代

市販薬を原料に覚せい剤製造 容疑のイラン人2人逮捕
2010年6月10日3時3分

 民家の屋根裏部屋で市販薬などを原料に覚せい剤を製造したとして、警視庁が、神奈川県相模原市に住むイラン人の男2人を覚せい剤取締法違反(営利目的製造)の疑いで逮捕したことが捜査関係者への取材でわかった。警察庁によると、原料から覚せい剤の完成品を造った事件の摘発例は、1995年のオウム真理教による事件を除き、これまで確認されていないという。

 原料の薬品の一部はイランで調達されたとみられ、警視庁は、協力者らと組織的に製造から密売までが行われていた疑いがあるとみて、流通経路や背後関係を調べている。

 捜査関係者によると、逮捕されたのは、いずれもイラン国籍の溶接工アリ・バフィ・モハマド(46)と飲食店経営ガフレマーニー・フーシャング(39)の両容疑者。両容疑者は昨年8月から今年4月までの間、モハマド容疑者が所有する同市緑区大島の木造2階建て住宅の屋根裏部屋で、市販の鼻炎薬などから覚せい剤原料を抽出し、他の化学薬品と調合したり加熱したりして結晶化させ、覚せい剤を製造した疑いがある。2人とも容疑を否認しているという。

 両容疑者はモハマド容疑者宅で覚せい剤0.077グラムを所持した容疑で5月に逮捕され、警視庁組織犯罪対策5課と町田署が今月4日、製造容疑で再逮捕した。

 屋根裏部屋からは、市販薬の空き箱や数種類の化学薬品、調合用のビーカーや電気コンロなどの器具、微量の覚せい剤が押収された。必要な薬品名や製造手順が書かれたノートも見つかり、警視庁科学捜査研究所などが内容を分析した結果、覚せい剤の製造が可能と判断された。薬品や器具の一部はフーシャング容疑者が購入したとみられる。
http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY201006090586.html















覚せい剤原料、医療関係者から調達か 密造に使用の一部
2010年6月10日15時0分

鼻炎薬などを原料に覚せい剤を密造したとしてイラン人の男2人が逮捕された事件で、密造に使われた薬品の一部は、男らが国内の医療関係者から譲り受けていたことが捜査関係者への取材でわかった。イランから輸入したとみられる薬品類も見つかっており、警視庁は2人が国内外で原料を調達し、覚せい剤を製造していたとみて調べている。

 組織犯罪対策5課と町田署によると、覚せい剤取締法違反(営利目的製造)容疑で逮捕されたのは、溶接工アリ・バフィ・モハマド(46)、飲食店経営ガフレマーニー・フーシャング(39)の両容疑者。

 両容疑者は昨年7月末から今年4月の間、神奈川県相模原市緑区大島のモハマド容疑者が所有する2階建て住宅の屋根裏部屋で、エフェドリン化合物を含有する鼻炎薬などを原料に、化学薬品を加えるなどして覚せい剤を製造した疑いがある。2人とも「知らない」などと容疑を否認しているという。

 捜査関係者によると、薬品の一部は、医療関係の仕事に従事している東京都立川市の男性から提供を受けていたことが判明。このため警視庁は9日、両容疑者の製造容疑を裏付けるため、男性の関係先を家宅捜索した。今後、男性が薬品を譲渡した経緯を詳しく調べる。

 同庁はモハマド容疑者宅から鼻炎薬や数種類の化学薬品、製造マニュアルなどを押収。薬品の中には、イランで生産されたとみられるものが含まれていた。両容疑者は長期間日本に滞在しており、同庁はイランの協力者から薬品が送られていた疑いが強いとみている。
http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY201006100226.html









覚せい剤密造、暴力団も触手 密輸のコストとリスク避け
2010年6月10日17時4分

覚せい剤を大きな資金源とする暴力団の中にも、国内で覚せい剤密造をたくらむ動きがある。

 暴力団が国内で売りさばく覚せい剤の大半は、海外からの密輸入に頼っている。中国や台湾のほか、このごろはインド、ミャンマー(ビルマ)、フィリピンに出向いて買い付けるという。だが各国とも薬物犯罪の取り締まりが厳しくなり、日本に帰国する直前に逮捕されるケースが相次いでいる。

 覚せい剤売買の事情に詳しい関係者は「首尾よく日本に持ち込めば相当な利益を得られるが、こんなご時世ではリスクが高すぎる。国によっては死刑になる」と話す。この関係者の知人の暴力団幹部も、海外で仕入れた覚せい剤を、中身をくりぬいたパイナップルの中に詰めて持ち帰ろうとして現地当局に逮捕された。

 そこで浮上しているのが国内での製造だ。関係者によれば、すでに密造を具体的に検討している暴力団組織があるという。必要な薬品入手や製造方法を知るのはたやすいが、製造の過程で激しい異臭がするため場所の確保が難点とされる。だが一定の資金を持つ組織であれば、人や車の行き来のない場所に土地を買い、「密造工場」をつくることが可能だという。

 別の関係者は「渡航費や仕入れ先への支払いなど密輸コストが不要になるため、より安く大量に売れるようになる」と話す。(編集委員・緒方健二)
http://www.asahi.com/national/update/0610/TKY201006100302.html








記事から推察するにどうやらこれを作っていたようだ。


・プソイドエフェドリン

(pseudoephedrine, PSE) は、内服用の鼻づまり薬として広く用いられてきた医薬品である。
塩酸塩または硫酸塩の形で用いられる。アメリカでは塩酸塩は「Sudafed」としてOTC(over the counterの略で、町の薬局で買えるといった意味)で入手可能である。CAS番号は、345-78-8。

プソイドエフェドリンは覚醒剤の原料となる。
またプソイドエフェドリン自体に覚醒作用があるため、フェニレフリン内服に転換する動きが広がっている。日本ではフェニルプロパノールアミンの代替としてOTCの鼻炎薬に配合されている。
アメリカ国内での覚醒剤合成にはプソイドエフェドリンを原料とするものがほとんどである。

                       (ウィキペディア)





参考:

覚せい剤とは、正確には、覚せい剤取締法第二条で指定された薬物の総称です。
英語では、覚せい剤に相当する用語がなく、Stimulants(覚醒系薬剤)には、アンフェタミンのほか、コカイン、リタリン、エフェドリン、カフェインなど中枢神経系刺激薬剤全てを含みます。
覚せい剤という用語は、ドイツ語のWeckamin(覚せいアミン)に由来するようです。アンフェタミン (Amphetamine)様物質は、覚せい剤の代表ですが、一般には覚せい剤という用語は、アンフェタミン類と同義語として使用されています。
化学品名は、フェニルアミノプロパン(アンフェタミン)、フェニルメチルアミノプロパン(メタンフェタミン)です。
英語圏では、短く、"Meth" と呼ばれることがあります。
「覚醒剤」と「覚せい剤」を区別して、前者にはコカインなど広義の覚醒系薬剤を含め、後者をアンフェタミン系薬剤に限って使用することがあります。

化学構造の類似した多くの化合物が覚醒作用、幻覚作用、麻酔作用を持ち、まとめて、Amphetamines と、複数形で呼ばれます。
この中には、アンフェタミンのほか、デキセドリン(Dextroamphetamine)、エフェドリン(Ephedrine)、リタリン(Methylphenidate)、エクスタシー(MDMA, E, バツ、バッテン)などが含まれます。
アンフェタミンは1887年にEdelemoにより合成され、メタンフェタミンは1893年に日本の長井長義により合成されました。
メタンフェタミンにはアンフェタミンの約10倍の薬理作用があります。
日本で乱用されているのは、ほとんどがメタンフェタミンで、ヨーロッパで乱用されてきたのは、アンフェタミンです。

コカイン、マリファナやカフェインと違って、アンフェタミンは、自然界には存在せず、化学的に合成されます。
もっとも、アンフェタミンの原料であるエフェドリンは、昔はマオウ(エフェドラ)というハーブから抽出されました。
今は化学的に合成されます。アンフェタミンには幾つかの合成法がありますが、エフェドリンから合成する場合が多いようです。

日本の覚せい剤はほとんどすべて国外で製造され、密輸入されたものです。覚せい剤のストリ-トネイム(売人、常用者などの呼名)は、シャブ、エス、スピード、やせ薬などです。終戦直後には「ヒロポン」と呼ばれました。

覚せい剤は水に溶けやすい白色、無臭の結晶で、なめると若干の苦味があります。静脈注射が従来の摂取方法でしたが、最近は過熱吸引法(吸煙、あぶり)や錠剤、液剤の乱用がはやってきています。
注射の暗いイメージがなく、手軽なこと、注射痕が残らないことがその理由です。錠剤や液剤などの内服では、脳内に到達する前に一部は肝臓で代謝されますが、静脈注射では直接血液内に入りますから、危険性はより大きいと言えます。
過熱吸煙の危険性はほぼ注射に匹敵するという専門家の指摘があります。

2001年頃から錠剤型麻薬の押収が急増しており、そのほとんどが「エクスタシー」と呼ばれる幻覚作用の強いMDMA(合成麻薬)です。MDMAは、日本の法律上は、覚せい剤ではなく、麻薬と分類されますが、上記のように、化学的には、覚せい剤、アンフェタミン類に含まれる化合物です。作用も、覚せい剤と同様で、末端価格も1錠5000円以下(原価は5円)と比較的安価なことから、繁華街などで10-20歳代の若年層への密売が横行しています。 

http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/DRamph.htm
                             








まあ、こういう時代になったのだろう。

人目につかない小さな工場で覚せい剤が製造される。それが市中に流通し、多くの人が被害者になり、同時に犯罪組織の資金源になる。

これを摘発するためには、従来とは違う捜査方法の導入が必要になる。

(特殊な条件下で法が被疑者の同意を得ない違法収集証拠に証拠能力を認める必要がある。薬物との戦いは、犯罪組織と国家との戦争なのであり、一般の人権保障は後退せざるを得ない。)
それを怠れば、アヘン戦争における清国の運命が我々を待ち受けるだけのことである。

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